第26章 ミラー越しの君に恋をする(燭さに)
幼い頃の僕は少し大人びた子供だったんだと思う。
周りの子と遊ぶ事はあんまり得意じゃなかった。
その理由は僕の片目には少し難を抱えていたから…視界が時々ボヤけるから黒い眼帯を当てていた。
物珍しいし、僕はそれが周りの子を怖い思いをさせてるとはその時はつい知らずに…。
でもそんな僕を両親が暖かく見守ってくれていたから。
公園の遊具で行くよりも自然と両親が経営している小さな美容室に行く事が当たり前の日常でそんな中で僕は君に恋をした…。
『今日16時からカットの予約していました、如月です』
「如月さまですね…お待ちしておりました、こちらへどうぞ」そう言って父は彼女をカット専用の椅子に座らせると…ゆっくり腰を掛けて背筋がピーンとしていてその仕草に綺麗だな…と僕は見とれていた。
彼女の髪を触りながらカウンセリングをしていく…どこまで切るのか、どんなヘアースタイルにしたいのか…それが終わると。
シャワー台に案内をする母は、彼女の首にケープを掛けると椅子を倒して、彼女の顔を濡らさないようにガーゼを掛けて、水とお湯のバランスをとってぬるま湯を作り出したシャワーで髪を濡らしていく。
シャンプーを適量取り出して掌できめ細かく作った泡を髪の毛に撫で付けて黒髪が見えないくらいモコモコの泡を付けて汚れを吸着させる。
その泡を綺麗に流すと…次にコンディショナーを適量取り出して髪の毛へ丁寧に塗り込んでいく。
全体を軽く揉み込むと少し置いた後…シャワーで丁寧に洗い流すと…。
しっとり感が出た髪の毛に軽くタオルを当てて水気を少し取って、タオルで髪の毛を巻くとシャワー台からカット台に案内されて座るとカットクロスを掛けられる。
鏡越しに映る君…父が鋭利な鋏を巧みに操り、髪の毛をカットしていく…時折はさむ世間話に優しい相槌と笑顔にただ見惚れた…。
カットが終わるとヘアーブラシを髪の毛を通しながら、そこにドライヤーを当てて乾かされていく。
ドライヤーが終わるとヘアースタイリング剤を手に馴染ませると彼女の髪の毛に塗り込むと、スタイリング剤の香りがフンワリと匂いがする。