第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
「やっぱりそうですよね!!
あんまりやってくれる人が居ないんですけど…そう言われると嬉しいです…一緒ですね」
「……あっ、そうだな」
(……その反応は…可愛すぎだろ)
満面の笑顔で返されると思ってなかった薬研は普段見せる事のない須美佳の表情に心の中では動揺を隠せなかった。
でも俺以外に見せたくなかったな…。
ひとり占めしたい…。
出会った時も如月先輩に向けてた笑顔が忘れられなくて…。
秦先輩は覚えていなくても…俺の事を見てなくても…
ただその場で見てるだけは悔しくて…
宗三に喋りかけてる如月先輩を見かけて初めて自分から名前を聞いた…。
その時の宗三の驚いてた顔も覚えてる。
もう待ってるだけは終わらせる…だから俺の気持ちを伝えたい…。
この想いが届かなくても…ただの後輩だけは嫌だからな…。
聞いてくれるか…秦先輩…。
食事を済ませると描く事を禁止されてるので各自部屋でゆっくり過ごす事になった。
須美佳は部屋の中で先ほど見つけた手紙を読むと、こう書かれていた。
"預かったプレゼントを渡すなら明日24日ではないかと思います。
24日は昼はともかく夜の時間の制限を設けませんしその日に油絵を完成させて下さい。
その油絵は完成されても僕は見るつもりはありません…。
薬研に見てもらって下さい、薬研が認めるならそれが完成になるので…
秦さんの気持ちを薬研に伝えるチャンスですよ…。
宗三より"
私の気持ち…薬研くんには伝えたいと思ってた…もし断られても…。
もうすぐ卒業してしまうから…忘れられるような気がして…。
薬研くんにモデルをしてもらってから距離が近くになった…心の準備は出来た筈…明日は特別な夜…クリスマスイブだから…。
少しだけ私に勇気を下さい…。
いつもより早めにシャワーを済ませて就寝についた。
~後編へ続く~