第24章 ふたつの恋のシグナル・中編(宗さに・薬さに)R18
あたしが左文字先生にモデルになって欲しいって願いが…アトリエへ向かう廊下を歩いてだけで…現実を帯びてきて落ち着きがなくなってきた…。
昼間は顔だけだったから…2人っきりで少し緊張はしたけど…それより左文字先生の身体を見れる事の方が…遥かに緊張する…。
長いはずの廊下が短く感じながらアトリエの扉の前に着くと鍵を開けて先に入る宗三に少し反応が遅れる香澄は中に入れずに立ち止まる。
「どうしたんですか…??」
『何でもない……』
「少し待ってて下さい…」
そう言うと宗三は奥の部屋へ入って行き、香澄はイーゼルスタンドの側にある椅子に掛けて目を伏せて待って居ると、思っていたよりも早く扉の開く音がして歩み寄る音は少しずつ近づいてくる…
イーゼルスタンドから少し離れた椅子から掛ける音がした…
意を決して目を開けるとそこにはローブを羽織っている宗三が居て…。
「…準備は出来ましたか??」
『…うん…大丈夫、左文字先生は??』
「…僕はいつでも大丈夫ですよ、じゃあ始めますか…」
紐をほどいて身に纏っていたローブをスルッと脱いだあと、ボクサーパンツだけになって…そして脱いだローブは横にあるポールラックに掛けて座りなおした宗三。
真っ白な肌…細身なのに少しなで肩だけど…引き締まった筋肉に男の人の身体…やっぱり想い描いた通り…左文字先生はキレイだ…。
筆を走らせる手が止まらない。
一分一秒…描ける事が嬉しくて夢中で描き進める。
音は何も聞こえない…時計の音も…自分の描いている筆音さえも…。
……描けた??
でも雑な気もするし…須美佳ちゃんのあとに見せるのやっぱり気が引けるな…。
「…はぁ、貴方は本当に集中すると凄いですね」
『えっえっ!!左文字先生!?いつの間に??』
「さっきから声は掛けたんですけど無反応でブツブツ呟いてますし…終わったんですよね?じゃあ見せて下さい」
『でも…』
「貴方の判断じゃなくて僕の判断です、後ろから少し見えてますし…隠しても無駄ですよ」
『……分かった、見ていいよ』