第23章 ふたつの恋のシグナル・前編(宗さに・薬さに)
それはさくら満開の春…高校の入学式である先生の出会い、あたしはうまれて初めて一目惚れしてしまった。
ずっと見ていたいと思った…ピンク色の髪の毛にオッドアイの瞳、細い身体で男の人とは思えない綺麗な見た目の美しさに惹かれた…。
名前は左文字宗三…美術教師だった。
小さい頃から絵が好きで、得意な美術ともあって口実とばかりに美術の授業では構成や描き方など相談しに行った。
でも左文字先生の容姿に惹かれる子はあたし以外にも居て…その一人一人を生徒として接して大人の対応をしている左文字先生を見ていて…あたしもその一人になってしまうのかと思うと…ただツラかった。
いつの間にか自分の中での目標が左文字先生をモデルにして絵が描きたいと思うようになった
ずっと機会を伺っていたけど一歩踏み出す勇気が出なくて…高校最後の三年生になってしまった。
卒業してしまうともう接点がなくなると思って三年生の一学期から左文字先生に頼み込むようになったのが、ずっと断られても何度も何度もお願いするようになって欲が出てきた。
せっかくだから左文字先生の身体が見たい…服に覆われてるから素肌は顔と手しか知らない…あたしだけにしか見られない…目に焼き付けたい…左文字先生の素肌と身体を…。
ずっと断られ続けて春…夏…秋が過ぎ、冬休みに入る12月になっても左文字先生があたしの願いを叶えてくれる事はなかった。
『左文字先生、あたしのお願い考えてもらえた??』
「如月さん…貴方の要望には答えれないって何度も言いましたよね??」
『左文字先生は美術の先生でしょ??』
「そうですね…」
『だったら、生徒の言うこと聞いてくれてもいいんじゃない!?』
「普通のモデルでしたら、少しは受ける気になりますよ…
それでも嫌ですけど…"セミヌード"ってなると話は別ですよ」
『……えー…もう高校最後なのに、教え子の生徒が可愛くない訳だ……』
あたしの無理なお願いをするといつも見せる呆れ顔も…あともう少しで左文字先生と会えなくなるという哀しさも含めて…泣きそうな声で訴えるあたしが居た。