第19章 猫と彼とアタシの恋模様(肥前さに)※R18裏
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目が覚めるといつもの猫の時とは違う視界、手を見てみると"肉球に纏われた足"ではなく"人の手"がそこにあった。
慌てて立ち上がり鏡を確認すると…ネコ耳も生えていない香澄自身で。
ふと気がつくと部屋の片隅に猫になってから見当たらなかった鞄を見つけた。
そんなドタバタしてると肥前が目を覚ました。
『おはよう…アタシ起きたらネコになってなかったの、これって治ったって事かな??
あっ…でもネコじゃなくなっても、…忠広くんの隣に居てもいい??』
「……あんたは、いや…香澄はおれなんかでいいのかよ?」
『……アタシは忠広くんの事がずっとスキだもん、普段なに考えてるか分かんなくてムッとした顔も…ネコの時にふっと浮かべる笑顔も…全部スキ』
「……香澄の飯が食べれなくなるのはイヤだから、居て欲しい…」
『……ご飯だったらいつでも作るよ、忠広くんの好きなモノ、なんとなく分かっちゃったし、買い物も一緒に行きたいな…』
「その前に一度先生に診察してもらった方がいいか?」
『…うん、1日様子見てから行こう…?なんかの拍子でネコになっちゃうかもしれないし』
肥前は南海にメールを送り、診察して欲しい旨を伝える。
その日は一日家で過ごした。
翌日診療所にて血液検査を受けていると呼んでいない筈の陸奥守の姿に肥前は小さなため息をつくとその肥前の姿にムッとした陸奥守が洩らす。
「……なんじゃい、わしの診断メールで結ばれたゆーのに、その反応はなかとちゃうか??」
「……あぁ!?それどうゆう事だよ、てめえ!!」
「陸奥守くん、それどうゆう事ですか?」
「どうゆうもなにも…南海先生かて、イタズラしよう言うちょったから…」
「……ああ、アレは冗談半分ですよ?猫化が少しでも治るのが遅くなればいいのになって思ったので…誰にも内緒でほんのちょっと薬を入れさせて貰っただけです」
「………二人して香澄をオモチャにしてんじゃねーえよ!!
もう知らね、いくぞ」
『あっ、忠広くん…待って』
彼女の猫化の原因は解明されぬまま、でもこれは神様が与えた悪戯なのかもしれない。
~終わり~