第19章 猫と彼とアタシの恋模様(肥前さに)※R18裏
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電車に揺られて着いた場所はコンビニの前で…香澄に催促されていた下着を買う為だった。
肥前が住んでいる近所にコンビニはあるが女性用の下着を買うと、そこにはふらっと買いに行けなくなるのを避けたかったからだ。
仏頂面が更にパワーアップしてなるべく早く事を済ませたい。
女性用の下着を手に取り、その横に合ったボディーソープ・シャンプー・コンディショナーと歯ブラシが予め入っているトラベルセットやメイク落とし・化粧水・乳液のスキンケアセットの類いに目が行くと…"彼女のお泊まりと言う 体だと買いやすいのか…?"と思考を巡らせる…段々考えるのが面倒くさくなって…トラベルセットだけ手に取り…一目散にレジへ並ぶと…聞き覚えのある声の人物に話掛けられた。
「おんしとこんなところで会うのは珍しかねぇ…なにしちゅーが??」
「……(一番会いたくないタイミングでこいつに会うのはなんでだよ!?)」
「もしかして彼女でもできたがか??」
「……てめえに関係ねぇーだろ??ってか付いてくんなよ…」
「つれないヤツじゃのう…わしも先生ところに行くがやき、わかちゅーやろうに冷たいのぉ…」
「……(先生に見せてやりたいのにこいつがいるとか色々めんどくせぇな)」
そんなやり取りをしながらポツンと建っている診療所に二人は入ると…白衣を纏った青年が。
「おや??二人で来るとは珍しいね…肥前くんから一人で来ると聞いてたから」
「おれは一人で来るつもりだったんだよ…先生」
「二人してわしの事が邪魔あつかいするんじゃ!?」
「さて…僕の患者さんはどこかな??」
「それは…こいつなんだけど…」
「猫は専門外なんだけどな…」
「……先生にはあとで説明するから、そこのベッド借りてもいいか??」
「それは構わないけど…」
「すぐ済むから……ちょっとだけ待っててくれ」
トートバッグから猫(香澄)を抱き上げるとコンビニで買った下着とリュック式のバッグも一緒に持ち、診察専用のベッドに向かい、さっとカーテンを閉める。