第19章 猫と彼とアタシの恋模様(肥前さに)※R18裏
『にゃあーにゃあー??(どうしたの??)』
《ナャア…ナャア……(おなかがいたくて、たべれないの……)》
『にゃあ、にゃあにゃあ??(病院行かなくて大丈夫??)』
《ナアー…(だいじょうぶ、だけどやわらかいたべものがいい…)》
『にゃあ!!(分かった、ちゃんと伝えるね!)』
肥前の胡座をかいてる太股へ飛び乗ると口元に近付いて軽く触れると白い煙が辺りを包み人の姿になった香澄。
肥前は自分のパーカーを脱ぎ慌ててパーカーを羽織らせる。
「……!? 猫達の前だからって、いきなりするなよ…」
『忠広くんゴメンね、でも早く伝えてあげたくて…菫ちゃんってネコさんはお腹が痛くて柔らかい物が食べたいんだってさ』
「それ……本当か??」
『ネコさんの言葉が分かったんだ、アタシの事信じて…』
試しに固いキャットフードではなく柔らかいフードを用意すると、猫の菫は食べ始める。
「良かった…気づいてやれなくてごめんな…?」
菫の様子で手いっぱいで気がつかなかったが、菫以外の周りの猫達が香澄に向かってシャアーシャアーと威嚇し始める。
香澄が猫達に近付こうすると部屋の隅で怯えている。
『あっ…ネコさん達びっくりしちゃったかな??
気持ち悪かったよね…ゴメンね…』
「………菫はあんたに感謝してるみたいだけどな」
『ありがとう菫ちゃん』
香澄の足元にすり寄る菫を優しく撫でると嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしていた。
「そろそろおれ以外に人が来るから、猫に戻ってくれるか??
連れて行きたいところもあるし」
『分かった…』
菫を撫でるのを辞めて、肥前にネコ耳を引っ張ってもらうと猫の姿に変わり、猫専用のトートバッグに入れられる。