第19章 猫と彼とアタシの恋模様(肥前さに)※R18裏
雨はキライ…嫌なコトを思い出すから…
〈いくら付き合っても抱かせてくれない、お前のそういうところが可愛くないんだよ、一人で居てろ!〉
突然投げ捨てられた別れの言葉…
キライキライキライ…!!
勝手にアタシの部屋でアタシの親友を抱いてた…先に裏切ったのはダレなの…?
何も考えずに、飛び出していた。
必要最低限の鞄一つだけで財布、スマホ、必要のなくなった家の鍵は投げ捨てて…。
路地裏の片隅で階段に座り込み…雨にうたれて声を殺して泣いていた…。
時間がどれ程経っただろうか分からない…だが、一人近づく影が見えた。
「やーらしかね…おまえ、そがん鳴いてどがんしたんや??」
『にゃぁ…??(なに??この男の人……ダレなの??)』
「行くところがなかないば、おれが飼うてやるけん安心しな??だけんこっちおいで」
『にゃあー?(言ってることはよくわからないけど着いて行っていいって事だよね…?)』
男に恐る恐る近づいて行くとひょいっと抱き上げられた、女であるのに軽々しく持ち上げられる事に違和感を覚えながら…雨が降る路地裏をあとにした。
***
男は一室に入ると、玄関口からすぐ洗面所を通り過ぎようとした鏡に映った姿が"人ではなく猫になっている事"に気がついた。
『に゛ゃ゛あ゛!?(なんで!?アタシ猫になってるの!?)』
「どがんしたんや…??大丈夫だけんな…今から身体綺麗にしてやるけん」
湯が張っていない浴槽に入れられたら逃げようにも無理なのだ。
『み゛ゃあ゛…にゃあ…(怖いよ…シャワーが人の時より大きく感じる)』
「初めてじゃろうか…??こがんしたらえすうなかじゃ」
シャワーヘッドにタオルで縛りつけてお湯の放射状の流れを殺し、滝の流れを作りだして放射状の勢いを無くさせてた…。
猫の顔からではなく尻尾の辺りからゆっくり身体にお湯を掛けていき、驚かせないように工夫をしていく。