第17章 春の悪戯(歌さに)
歌仙と香澄が空いている席に隣に並んで座るとそれを確認した表千家が抹茶を点て始めた。
茶碗の中に柄杓で掬ったお湯を入れて温め終えたお湯を捨てて、棗に入っている濃茶を茶杓で山3杯を茶碗に入れ、少量のお湯を柄杓から注ぎ茶筅で練りうっすらと泡立てると抹茶が完成した。
それと目の前に置かれた和菓子は桜のモチーフになって見た目が桃色になっていて鮮やかだった。
「桜を見なくても…抹茶を飲みながらきみと過ごす事が春を感じさせるんだよ
それと…抹茶に含まれるカテキンという物質は花粉症に効くそうで…少しでも楽になればと
どうだい??悪くないだろ??」
『ありがとうございます…また連れてきて下さい、歌仙さん』
少しだけ貴方過ごす春も悪くないと季節の移り変わりを楽しみたい…
"歌仙さんが好き"と再度自覚した。
(歌仙side)
やっときみの視点が僕と合った、安心した…
連れてきて良かった。
写生の時に…きみと初めて出会ったときからまっすぐで一途な視線…綺麗な姿勢をしていたから…見惚れていた。
満開に咲く桜の花よりも笑顔が咲いたきみの方が美しいと…
"一輪の花のような香澄のことが好きだ…"
と改めて気づいたよ。