第14章 幻想叶は特別扱いをする
【幻想叶side】
「みんなーここはもうちょっと大きい声出してね!」
そう響香ちゃんが声をかけると、みんなは元気よく返事をする。
先日先生から話をされたこの町のお祭りについて、
私たちは歌を歌うことに決めていた。
「ねえねえ叶ちゃん、ここもうちょっとこうした方が…」
「う、うん。そうだね、次そうしてみよっか」
私は私で目を見て話すということに少しずつ慣れてきていた。
「ねーさっき聞いたんだけどさ、ステージ終わったらお祭りまわっていいんだって!」
「え!!まじか!!」
芦戸さんが話し出すと上鳴さんがすかさず反応する
「そりゃあ本格的に祭り楽しむしかないじゃん!」
「せっかく祭りなら、浴衣とか着たいよなあ」
「浴衣かあ、いいなあ、女子皆浴衣着ろよぉ」
そう峰田くんがそう言うと「きもい」と女子に怒られていた。
「でも、浴衣っていいよね!非日常感?」
「わかる~」
「でも雄英高校代表としていくなら絶対制服参加だよね…」
「それなら、催しが終わってから私が皆さんの浴衣を創造で作りましょうか?」
そう八百万さんが言うと女子のみんなは凄く喜んでいた。
「どうせ着るならみんなで着たいよね~」
「うんうん、……あ、相澤先生にも着てもらいたい!!」
「それいい!小綺麗にして浴衣着たら絶対似合うよね!」
話にうまく入れなくて、相槌をうっていたらどんどん話が進んでいく。
相澤先生の浴衣姿かあ、そんなの見てしまっていいのだろうか。
「ねー叶ちゃんも相澤先生の浴衣姿見たいよね!」
そう言って芦戸さんに肩を軽く叩かれた。
「え、私?」
そう聞くとみんなはにこにこして頷いている。
「う、うん。見たい…かも」
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『俺の目は見て話してくれないのか』
数日前、相澤先生にそう言われた。
「…え?目…ですか?」
驚いて顔を上げると、先生はバツの悪そうな顔をしていた。
なんで、そんなこと言うんだろう。
やっぱり礼儀として目を見て話せってこと?
だけどそれならもっと諭す言い方するよね…
なんで、そんな言い方
「目、見て話ししたいんですか。相澤先生」
そう聞くと軽く頭を叩かれた
「なぜ俺だけ見ないのか、興味だ。」
そう言われた。
恥ずかしくてたまらないからです。
とは…
言えなかった。