一緒に灯台の光を灯し続けよう(アイナナ大神万理夢)
第3章 行方不明の女子力
大神さんのボタンの外れた胸元を見つめるしか出来ない私の髪を、大神さんは優しく梳く。
「俺は……さんが入社した時にいいなって思って、頑張る姿に好きだって思ったよ」
「大神さん…?」
私を好きだって、そう聞こえて顔を上げた。
微笑みに優しく細められたシルバースカイ色の綺麗に澄んだ瞳が真っ直ぐに私を見つめていた。
「さんをいつの間にか目で追って、失敗しそうになる度に飛んでいきたくて。案の定失敗して慌てる姿が可愛くて。この子と家庭を築けたら、毎日人生楽しそうだなって思ったりしてね」
髪を梳いていた手を私の頬に移動して、優しい指先が頬をゆっくりと撫でる。
「そろそろさんの気持ちを聞かせてよ。これ以上言うと、恥ずかしさに俺の心臓が破裂しちゃう」
どこか硬い微笑みに、大神さんも緊張してる事を知る。ずっと見つめてくれる瞳の色を見つめ返して、私もゆっくりと唇を開いた。
「大神さんが…好きです。優しい所も、優しく見守ってくれるこの瞳も…好きです。名前を呼んでくれる声が好きです。全部、好きです!」
大神さんの好きなところなんて言い出したらキリがないくらいたくさんあるけれど。みるみると真っ赤になっていく大神さんに多くは伝えられなくて、『全部好き』なんて曖昧な言葉で締め括ってしまった。
「その…、ありがとう。思ったより衝撃が強くて…」
ごめん、と私の両肩に手を置いて、大きく息を吐く大神さんの頭頂部を見つめる。ゆっくりと大神さんが顔を上げた。
「さんが良ければ、俺と結婚を前提に付き合ってくれませんか?」
まだ赤さの残る顔に口元をキュッと引き締める真剣な表情の大神さんが年上なのに可愛くて、私は自然と笑って頷いていた。
「私で良いんですか?」
「さん以外考えられないんですけど」
「私も大神さんが良いです」
「千や百くんよりも?」
「もちろんです!」