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甘い夢をみていたい(銀時夢)

第1章 晩御飯の後にオトナは運動する事があるらしい


「ちゃんが来てからご飯が美味しくて、一升余裕になったアル」
「前から食べてたよ!エンゲル指数高すぎたらちゃんが困るんだよ!?」

 半年ほど前に俗に言う異世界トリップとやらをして、途方に暮れていた私を拾ってくれたのが万事屋だった。
 一宿一飯どころか、帰るまで居てくれていいとまで言ってくれた万事屋の皆に自分が出来ることをしたい。
 そう思って請負った家事だったのだが…、与えられた食費から大食らいと飲兵衛の為に食事を考えるのは本当に大変な事だった。

「大体な、夕食なんてモンは少なくて良いんだぞ。夕食の後なんて寝るだけなんだから。大人は運動する事もあるけどな」
「偉そうな事言ってますけど、外で晩酌しなくなっただけで銀さんの酒代ものっそい増えてますから」
「外で飲んだ時の値段知らねェだろーが。ぼったくりですよ?ゴリラ女が接待するだけでバカみたいに取られんだから」

 額に米粒が付けた神楽におかわりのご飯をよそい、「ありゃあ詐欺だぜ詐欺」と目が据わり始めた銀時のグラスに酒を作って足す。
 賑やかな万事屋の皆に、異世界に来てしまった寂しさや悲しみは大分癒された。
 帰る手立ては未だ探し続けているけど、この夢みたいに暖かい場所に居続けたい自分もいる。

「食費の事は心配しないで。八百屋さんとかにもサービスしてもらっちゃってるんだ」

 突如現れた素性のわからない女。でも、半年も経てば挨拶を交わす人も増えて、色々なお店で「銀さんに食わせんならこれ持っていきな」とおまけして貰う事が増えた。
 ……銀時への押しかけ女房みたいに思われてそうな気もするが。

「たいしたもんじゃねーか。ここいらの住民はケチ臭いのが多いのによォ」
「家賃もツケも踏み倒そうとするからですよ」

 ツッコミを入れる新八の箸も止まらない。片付いていくお皿を見ていると、私も自然と笑顔になっていく。
 明日からも頑張ろう、3人の笑顔を見て私もそう思った。
 
 
 
「おやすみなさい」「おやすみなさいネ……」
 新八は帰り、神楽は今にも寝そうな目を擦りながら奥の部屋へと消えた。
 ちびちびと酒を舐め続ける銀時と話しながら私は後片付けをする。それが日常。
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