第2章 共同生活の始まり
「チチッチュン」
小鳥の声で目が覚めた。
目を開けて、だんだんはっきりしてくる視界に天井が見える。ここが自分の部屋ではなかった事を思い出した。
……ああ、夢じゃなかったんだ…。
布団から起き上がり、ガラス窓を開け、木の雨戸も開けると、朝の冷たい空気と明るい陽がさしこむ。
窓の外にはお屋敷の中庭が見えた。中庭は、運動ができるほど広い。
よく剪定された庭木の横には井戸があり、道場とおぼしき建物が併設されていた。
道場の扉が開き、道着を着た煉獄さんが出てきた。
扉を閉めている。
「おはようございます!」
私はちょっと身を乗り出して煉獄さんに手を振った。
煉獄さんは私を見ると明るく笑った。
「おはよう!要。良く眠れたか?」
「はい!すみません、気持ちよくて寝過ぎてしまいました。」
煉獄さんは、こちらに歩いてきながら、
「それは良かった。着替えておいで、朝餉にしよう!」
それで私は自分の服を見下ろして、青くなる。
……っひゃあー!!!
昨夜、煉獄さんが貸してくれた煉獄さんの浴衣が、寝ている間に着崩れて、胸元が大きくはだけかけ、ブラは丸見えだった。
昨夜、お風呂に入る前に私が着ていたニットとスカートを見た煉獄さんが、それじゃ寝にくいだろうと自分の寝間着を貸してくれていた。
もちろん、丈と腕は長い。
み…見えたかな?寝相の悪い女だとバレてしまったかも…。
服を着替えて顔を洗い、歯を磨き、バッグの中に入れているお泊まりセットを出して、簡単メイクする。
クリスマス前は徹夜の作業の日もあるから、着替えの服や下着、メイク道具や必需品を入れている。これがあって良かった。
身支度を整えて下へ降りた。
お台所に入っていくと、先程の道着から青い着流しに着替えた煉獄さんが、お味噌汁の鍋を火にかけているところだった。
「すみません!私やります。」
手を洗い朝ごはんの支度を手伝う。
「すまない、要。俺は料理はあまり慣れない。」
そう言って煉獄さんは笑った。
私にも出来る事がある事にほっとしつつ、お味噌汁用の大根の皮を剥きながら、私は煉獄さんを見上げて言った。
「私も、お料理は上手な方ではありませんが、良ければこれからは私がやります!」
そう言うと、煉獄さんはパッと笑顔になった。
「そうか!!出来る範囲でいいので、お願いする!!」