第10章 おうちに帰ったら
ママも
「心は前よりも顔色が良くなったわね。煉獄さんが面倒を見てくださっていたなんて…。心の命の恩人なのね、なんとお礼を言ったら良いのかしら…。」
そう言って泣きながら私を抱きしめた。
帰って来てからは、家族は私を腫れ物を触るかの様に大事に扱って、一週間は一人で外出も出来なかった。
やっと今日、ママと商店街へ買い物に出て、よく行っていたお店でランチした。
やっぱり、住み慣れた場所に帰って来ると、ほっとする。
きっと煉獄さんは、私を家に返す事で、私が本当に生きていきたい場所を冷静になって、自分で決めるために、考える時間を持たせようとしてくれたのかもしれない。
私を一度も引き止めなかった煉獄さん。
今は分かる、煉獄さんの気持ちが。
両親は私の友達にも、私の行方を尋ねていたので、無事に帰った事を連絡した。私の親友である4人は家に押しかけた。
私の部屋で、いつものようにワイワイ話す。
「ねえ、心、あんた好きな人できたでしょ!」
いきなり言われて私は焦った。さすがは友達だ、鋭い。
「誰だよ、心、言えっ!!」
皆で私をベッドに押し倒して上からクッションで乗る。
「重いってば!!いるよ!います。」
私はもがきながら言った。
皆がキラキラした目で、「誰っ!」って言ったので、
話したくなった。大好きな友達に言って聞いてもらいたい…。
「早く言えよー!!」
また押さえられて、私は苦しい中
「れん…ご…」言いかけたら
「は?レン?外人かよ!!」
と言って皆が騒ぎ出した。
おバカな友達といると、笑っていられる。私達は高校生の時から
いつもこう。成長してないかもしれない。
だけど、笑って過ごして来た友達。
いつか話そう。皆といると、
煉獄さんと離れた寂しさを忘れていられた。