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おうちに帰ろう(鬼滅の刃 煉獄杏寿郎)

第9章 きっとまた会えるから


あの場所に着くと、本当にバスは来ていて私を待っていた。
私が乗り込むと、扉は閉まり、走り出した。
椅子に座って、さっきまで一緒にいた煉獄さんの事を思い出していた。

煉獄さんは、私を送ると言ってくれた。
なので途中までの道をお願いした。
あの場所まで一緒に行くと辛くなって、一緒に煉獄さんの家に戻りたくなりそうだから、途中まで。

煉獄さんとお別れする時、煉獄さんは家の鍵をくれた。
自分がいない時に私が帰って来て、困るといけないからと言って渡してくれた。
鍵には赤い組紐の先に紅い珊瑚の飾りが付いた可愛い根付けが結んであった。

「可愛い!」
私が喜ぶと煉獄さんはにっこり笑った。

煉獄さんと繋いでいた手を離すのは、とても辛かった。
煉獄さんの隊服姿が大好きだったから、よく見ておきたかったけど、
泣きそうになるから、あんまり見れなかった。

多分、今までの経験の中で最も辛い事が煉獄さんとの別れだった。
煉獄さんは最後にそっとキスしてくれた。

「要、ありがとう!体に気をつけるんだぞ」

煉獄さんの赤い瞳を見つめると、瞳の中には煉獄さんの真摯な思いが感じられた。勇気や強さ、誠実や愛情。
煉獄さんの持つ性質を映し出した瞳。

短い間だったけれど、煉獄さんと一緒にいられて良かった。
私は煉獄さんから沢山の物を受け取った気がする。
私は煉獄さんに何をしてあげられたのかな……。


「煉獄さん、ありがとうございました。私、この世界で煉獄さんに会えて良かったです。私、家に帰って、家族に無事を伝えたら、必ず戻って来ます!煉獄さんの元に戻ります!」

「要、きっとまた会えるから。悲観せずに、必ず前を向け」

煉獄さんは最後まで私を励ました。

私は煉獄さんにお礼を言ってお辞儀をしてから歩きだして、一人でこの場所に来た。

夕暮れになる前の時間だった。
いつもなら夕ご飯の準備をしている頃かな。
煉獄さんを待ったり、煉獄さんとお買い物に行ったり。
そんな事をして過ごした時間帯だ。

「きっとまた会えるから。」
煉獄さんの言葉を、一人でもう一度呟いた。








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