第7章 一緒にいたい。それだけです。
煉獄さんがお風呂に入っている間に、起き上がって夜ご飯の仕上げを始めた。
さっきは、慌てて挙動不審になっちゃた。
もう、大丈夫。気持ちも落ち着いたし、お腹も減った。
煉獄さんのお茶碗に、ご飯をもりっとつぎながら私は苦笑いする。
煉獄さんが、好きだと言ってくれたんだから
私も、私の煉獄さんへの想いを育てていけばいい。
出会って間もないけど、私は以前から煉獄さんを知っている。
好きになるのは当たり前だった。
でも、アニメで見た時は、お館様が一番素敵だと思っていたんだっけ。
お館様の声が良いよねーって、友達と盛り上がった。
思い出して、一人でクスクス笑ってしまった。
「楽しそうだな」
いつの間にかお風呂から出ていた煉獄さんが、出来上がったご飯の乗ったお盆を運んでくれながら笑って言った。
「もう、大丈夫なのか?」
ちょっと心配そうな顔だったので私は元気に言った。
「もうすっかり元通りです!すみませんでした。遅くなっちゃいましたね。煉獄さんもお腹空きましたよね!」
「大丈夫だ。君も無理はするな」
いつもの、元気をくれる煉獄さんの笑顔。
今夜は煉獄さんは家にいる。
夜の任務はなくて、部屋で眠れる。一緒に階段を登って、それぞれの部屋の前で、寝る前の挨拶をする。
私の部屋の前の部屋が煉獄さんの部屋だ。
「煉獄さん、おやすみなさい」
「要、おやすみ。また明日」
いつもなら、ここでそれぞれの自室に帰って寝るんだけど、今夜は煉獄さんが私におやすみを言った後に、いつもとは違う、甘い雰囲気が二人の間に、ふんわりと流れているのを感じる。
キスしたし…。
煉獄さんの目も、いつにも増して優しくて、今、ここで離れちゃうのがなんだか淋しく感じてしまった。
もう少しだけ、一緒にいたい。
煉獄さんの笑顔を見ていたら、何でも許してくれそうで、私はつい、
さっきはあんなに恥ずかしがっていた事もコロッと忘れ、口に出してしまった。
「…煉獄さん?」
煉獄さんは眉を上げて私を見る。優しい目。
「ん?要、どうかしたか?」
「煉獄さんと、一緒に寝たいです」
「 ………。」
煉獄さんは黙った。びっくりした顔をしている…。
や、やばい…。