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おうちに帰ろう(鬼滅の刃 煉獄杏寿郎)

第4章 甘い痛みが知らせたもの


煉獄さんが笑い出しながら私を見た。

「要、紹介する。俺の鎹鴉で要だ。誰かと一緒だな!」
そう言って、鴉の要さんの背中を愛おしそうに撫でた。

「要さん、同じ名前ですね!宜しくお願いします!」

煉獄さんの鴉らしい、美しい要さんに挨拶をした。

要さんは私を見て頷いたように見えた。
そして、煉獄さんの方に向き直ると大きな声で叫ぶ。

「杏寿郎!!オ館様ヨリ召集命令!!産屋敷邸へ急ゲ!!」

それを聞いた煉獄さんは仕事の顔になった。

「分かった!準備でき次第すぐに向かう。要、ご苦労だった!」

煉獄さんは立ち上がると私に言う。

「要、急な任務だ。留守を頼む」

屋敷の中に入っていく煉獄さんに、慌てて尋ねた。

「何か、あったんですか?!」

煉獄さんは私を見て頷きながら言った。

「ああ!1か月程前から、下弦らしき鬼が出没しているとの情報があった。向かわせた隊士が戻らない事をお館様が心配されている。その事かもしれん。要、俺は2、3日戻らないかも知れない。悪いが留守を頼めるか」

煉獄さんの緊迫した口ぶりに、ただ事ではないと思った。

汗を流しにお風呂へ行った煉獄さんが、隊服に着替えて来る間に、私は急いでお握りを作り、竹の皮に包んだ。
お握りには自家製の、ちりめんのふりかけを混ぜた物と、梅味と2種類にした。煉獄さんは良く食べるので5個。

日輪刀を腰に装着した煉獄さんが、玄関へと早足で歩いて行く。
外に出た煉獄さんを見送り、私は煉獄さんにお握りを手渡した。

「煉獄さん、お握り作りました。朝ごはん、まだだったから、途中で食べて下さいね!気をつけて行って来て下さい!待ってますから、ちゃんと帰ってきてくださいね!」

今、私が出来ること、これくらいしかない…。

煉獄さんはお握りを受け取り、優しく言った。

「ありがとう、要。一人で不安だと思うが、頑張ってくれ。
帰ったら、君と初めて会った場所に行こう。後回しになってすまない。」

煉獄さんは私を見て言った。

赤い、真剣な眼差し。なんだか目が逸らせなくなった。

数秒見つめ合って、煉獄さんは出て行った。





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