第6章 努力
「ない!?」
「うん。珍しいよね~」
ちょっとちょっと、
カンペがないってどゆことよ・・・。
「なんでですか」
マイペースな上司にきけば
さあね、のポーズをとるこのおやじ。
「なーぁんか行方不明てきな?」
「てきな?って・・・」
「まあ、無いもんは仕方ない。帰って休めば?」
「は・・・はぁ・・・」
「最近ぶっ続けで休んでないっしょ?」
確かに、ここんとこ家にいつ帰ったのか
覚えていないような・・・
「倒れちゃイヤだからね」
「では、お言葉に甘えて」
「ん。バイバーイ」
なんともフリーなおやじだよ。
自分がいくつだと思ってんの?
・・・・・・
いくつなんだろう・・・。
「お疲れさまでした」
「ちゃん帰るの?」
「うん。仕事ナッシング~」
「いいな~」
「ははは」
こんなことならもう少し
櫻井さんと話してたらよかったな。
ちょっと後悔・・・。
「あ」
スタジオを出てづかづか歩いてたら
広場のテレビに目が行った。
そこに映るは、幸せそうな女の人と
その人の隣で微笑む櫻井さん。
なんのドラマなのか・・・はて。
「さすがはアイドルねー」
立ってテレビを観ていたけど
この人なら恋に悩む必要ないんじゃない?
とふいに思ったりもした。
余裕で結婚まで走れそうだわ(笑)