第4章 悩み
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エース視点
『ううん、なんでもない。心配してくれてありがとう、みんな』
そう言うの顔は、儚く今にも壊れてしまいそうな、そんな表情をしていた。
どうしても気になったオレは、自然とオンボロ寮に足が向かっていた。
監督生への挨拶も程々に、オレは彼女の部屋の扉をノックした。
『はい?ユウ?』
エ「あー…オレ。エースだけど…」
『えっ、エース?どうしたの?』
中から慌てたような様子で、が扉を開けてくれた。
エ「いや、昼間の様子がおかしかったから…つい」
『あー…そうなんだ…ごめんね、逆に心配かけちゃったね』
エ「いや、オレが勝手に気になっただけだから!」
『ここで立ち話もなんだから、入って』
そう言ってオレを部屋に招き入れた。…いくら何でも無防備すぎじゃないか?
なんて言ったら下心がバレてしまうので心の奥にしまっておく。
そんな下心を誤魔化すように、頭を振って部屋を軽く見渡す。なんか…思ったより女の子の部屋だな…ってまたオレは!!
『ふふ、何か珍しいものでもあった?』
エ「えっ、ああ…いや…うん…女の子の部屋に入ったことって初めてで…」
『あれ、そうなの?ふーん、エースって私のこと女の子としてみてくれてるんだ』
意外そうにはオレを見上げる。
少し意地悪く笑うその笑顔は、オレの見たことのない妖艶な表情に、思わずドキリとした。
オレは胸の鼓動が早くなるのを感じ、慌てて話を逸らす。
エ「そ、そんなことより!昼間はどうしたんだよ?相当悩んでたみたいだけど」
『…ああ…うん…それはちょっと…』
エ「言えないこと、なのか?」
『あまり、言いたくない…かな。ごめん…』
エ「…わかった。けど、何かあったら頼れよな!」
『ふふ、ありがとう、エース』
今度はいつもの明るいの笑顔。いろいろな表情を見せてくれる彼女の表情をもっと知りたいと思ってしまった。…そう、思ってしまった。
『悩みはなくならないけど、これ以上みんなに心配かけたくないし…しっかりしなくちゃ!』
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