第41章 youth 【準番外編】
時が止まったように
呼吸を忘れていたかのように
固まっていた2人が同時に目を逸らした。
今更気がついたように花火を見上げる。
「・・・綺麗だね」
「うん…すげーな…」
夜空一面に、何度も何度も大きな花が咲いていく。
「ずっとこのまま…時が止まっていればいいのに…」
「うん……なぁ… レイ…」
「…ん?」
レイがこちらを向いた。
あぁ…やっぱ綺麗だな…
月や花火のおかげじゃない
君の心の中が
あまりにも綺麗で
あまりにも……
「……ーーきだよ…」
小さく呟くように言った言葉は
当然、けたたましい花火の音に掻き消されていた。
「へ?ごめん、聞こえなかったよ、
…もう一度言って?」
「……なんでもないよ」
「…え?」
少し苦しげに細まった蒼眼はまた花火を見上げだした。