第40章 scene ■
甘味処を出たあと、10分ほど歩いたところに、大きな寺があり、人がたくさんいるのが見えた。
千本釈迦堂という有名なお寺らしい。
そこはなんと、夫婦円満・子宝祈願の神社らしい。
たまたま入った寺がこんななんて…と思いながらなんとなく赤面していたら、
寺内には、"阿亀像"という石像があった。
そこに書いてある内容は、簡単にいうと、
夫を庇って死んだ阿亀という女性の話。
レイは読みながらなんとも言えない感情に襲われ口ごもってしまった。
突然、繋いでいた五条の手に力が篭もり、ふと見上げると目が合った。
五条はニッと白い歯を見せている。
「レイは幸運だね。夫が最強で。」
その言葉に視線を落としため息を吐いた。