第5章 possession
コンビニを出ると、ちょうどバイクを降りたガラの悪い若者たちがタバコを吸っていた。
一斉に視線がこちらを向いたのでレイが顔を強ばらせると、突然五条に手を繋がれる。
「とっとと行くよ」
「あ、うん」
危険が及ばないように手を繋いでくれたのはいいが、もう大丈夫という所まで来てもいつまでも離してくれないのでさすがにレイは苦笑いする。
「ねぇ、もう大丈夫でしょ、いつまで繋いで」
「危機感を持てって前にも言ったろ?それに俺はレイの護衛でついてきたんだから。人の好意は善意に受け取れよ」
言葉を被せられ、仕方なくそのまま歩く。
「ねぇ、悟の手って…大きいね」
「そう?背が高ぇからかな」
「拳の大きさが心臓の大きさって聞いたことあるよ。」
「へぇー勉強になります」
「時々思うんだけど、心臓の中を見ることってできないのかな」
「は、何の話ー?心臓の中?」
「心の中のことだよ…」
レイを横目に見ると、難しそうな顔をして俯いているのが、月の光でわかった。
「…さぁ?医者じゃないからわからん。硝子なら分かるかもな。あいつ医者みてぇなもんだし」
「ふ…そうかもね…」
「そもそもさー、人の考えとか気持ちとか、多くは目に見えるもんじゃねーから。」
そう言うと、レイがうっすら笑って深くため息を吐いた。