第39章 dignity ■
「んー…今は…どうだろ。」
「昔も、今も、ですよ。」
「……」
「あの人はまだ、過去を生きてる。今を生きてない。」
五条は深く息を吐いて天井を見上げた。
「…恵の言う通りかもね。
だったら僕が頑張るまでだよ。」
「あの人は、五条先生のこと本当に好きなんでしょうか」
五条は何も言わずに目を瞑った。
「純粋無垢で、流されやすくて、絵に書いたような善人…そんなあの人に、無理をさせてんのって五条先生なんじゃないんですか?」
短く息を吐いて頭を搔く。
「ん〜…参ったな。そういう感じで来る?」
そのウンザリしたような態度に、伏黒は顔を顰める。