第39章 dignity ■
「"死んで勝つ" と "死んでも勝つ" は
全然違うよ、恵。」
五条は低い声色でそう言い放ち、パチンと伏黒の額を弾いた。
「本気でやれ。もっと欲張れ。」
凄い気迫の真剣な五条に、ゾクッとレイの体が跳ねた。
そこにいるのは、"自分が知っている五条悟" ではなく、
紛れもなく"教師としての五条悟"だった。
こんな悟…初めて見た。
真剣そのものの威圧感が凄まじい。
本当に悟なの?
その気配を感じてか、五条の視線がスっと流れてきて、目が合う。
レイだとわかった瞬間、鋭かった五条の目つきはいつものように柔らかくなった。
「あれぇ〜?なに〜?
帰りが待てなくてついにダーリンの職場へ押しかけてきちゃった〜?」
レイはハッとしたように首を振る。
「ちっ、違うからっ!
ちょっと伏黒くんに用事がっ!」
「はぁあ?恵にー?なんで僕じゃないわけぇ?」
伏黒は、さっきの気迫はどこへ行ったんだと言うような呆れ顔で五条を見ている。