第37章 nightmare
どこにも心の拠り所がなくなって、そんな自分自身が受け入れられなくて、ついに限界が来たのかもしれない。
私はある日学校を抜け出して1人で電車に乗った。
当てもなくただ電車に揺られていたいと思った。
けれど、夕方になった途端にどんどん満員電車になっていき、それがすごく窮屈で空気も悪くて嫌になって、どこだかわからない駅にひとまず降りた。
地面だけを見てとぼとぼと歩いていく。
このままずっと1人でいいや…
どうせ1人なら、どこへ行こうとどこで死のうと勝手でしょ。
幼い私は、イヴリンさんの言葉はどれも薄れてきてしまっていた。
だんだん地面が見えなくなってきて、ふと顔を上げるともう辺りは真っ暗闇だった。
もう夜になってる……
今何時だろう?
空を見上げると、少しだけ星が見えた。
「足…痛い……疲れた…」
どのくらい歩いていたのか分からない。
私はたまたまあったバス停のベンチに座った。
使われているのかいないのか、豆電球くらいの灯りしかついてなくて、とても暗い。
ランドセルを前に抱えて顔を押し付けていると、隣に誰かが座った気配がし、ゆっくりと横を見た。
よく見えない。けど…
お化けの気配じゃないな…人だ…
それだけは理解出来た。
「おーい、生きてるー?」
「っ!?…Huh?…」
「あ、生きてるっぽい…ははっ」
男の子の声?
よく目を凝らしても見えないが、背格好的にも声的にも、自分と同い年くらいかな?と思った。
「こんな時間にこんなとこいたら攫われんじゃない?」
「そ…れは……お互い様なんじゃないの?」
「ははっ、はははっ、確かにぃ!」
男の子はさぞ面白そうに笑った。
自分のことはさておき、なぜこの子はこんな時間にここに居るのか?
単純にとても不思議に思った。