第37章 nightmare
今夜も1人きりだ。
広い部屋に一人きりでいると、本当に自分は一人ぼっちなのだと実感させられる。
まるで、誰からも必要とされていないような、存在価値がないに等しいような、そんな虚無感を思い知らされる。
もしも傑がまだどこかにいたら、こんな気持ちにはならなかったのか?
いや…絶対になっただろう。
むしろ諦めきれなくてもっと辛かったかもしれない。
彼がもうどこにもいないと分かっている今ならもう……
1人で感じる孤独より、2人でいても感じる孤独の方が辛いなんて誰かが言っていた気がしたけど、絶対嘘だ。
静寂があまりにも恐ろしくなり、ピッとテレビを付けてみた。
「…ん?なんのドラマだろ?」
そこには、最近旬らしい女優と俳優が、車内で喋っているシーンだった。
俳優の顔が、徐々に女優に近付きつつある。
レイは目を見開いて凝視する。
消そうかと思ったがどうしても見入ってしまった。
まさに今、ドキドキのシチュエーションだ。
"なぁ…俺とお前って…なに?"
"え…なにいきなりっ…と、友達でしょ?"
"悪いけど、俺は友達なんて思ってねーから。最初っから"
"…はぁ?…どういうっこと?"
"お前は俺の事…どう思ってんの?"
"っえ……ど、どうって…"
"答えるまで帰さねーから…"
ガタタッ
ピッ
ついにテレビを消してしまった。
危ない…
なんかこれって…
こないだ悟とした会話に似てるし…
そもそも恋愛ドラマなんて…
こんなの観てたら余計に虚しくなるだけだ…
レイは、ふぅ〜っと息を吐いて徐に立ち上がった。
それにしても…
悟の部屋って無駄に広くて綺麗だなぁ…
そんなに綺麗好きだったっけ?
でもこんな所にずっと1人でいたんだろうか?
あ…でもクマと私の呪骸たちは置物になってたんだよね。
そう思い出して戸棚を見ると、当時自分の作った呪骸のぬいぐるみたちが律儀に並べられていて、レイは寂しげに笑った。