第35章 wonder
「…ん……悟……手……」
手を伸ばしてくるレイにため息を吐きながらもその手を掴み、指を絡ませる。
「……ここまでしてさぁ…なぁ…」
僕すごくない?
これ拷問じゃんか。
ちょー我慢してるんだけど…今。
スースーとたちまち寝息をたてるレイ。
手を握ったまま、たまらず隣にゴロリと横になる。
ジッとその寝顔を見つめながら、目を細める。
「… レイ…やっぱチューしたい。」
はぁ…とため息を吐いてギュっと手に力を入れる。
天使のような寝顔。
周りにふわふわの羽が舞っているような幻覚すら見えるくらいに、癒しを与えてくるような姿。
「…だめ?…ねぇレイ……」
もっと触れたい。
もっと抱き締めたい。
もっとキスしたい。
もっと、もっと、もっと…
レイが欲しい。
でも、やめとこ。
さっきあんなこと言われたばっかだし。
ここ出ていってほしくないし。
僕が1番レイの近くにいたいし。
だから
また困らせちゃうよね…
確かに僕、今までデリカシーなさすぎたよね。
勝手だったよね…
さっきはついあんな乱暴なこと言っちゃって…
僕やっぱちょっと限界きてんのかな…
でもお前も悪いんだからな、レイ。
お前がこんなに……
こんなに……
五条はレイの頬に唇を寄せ、目を閉じる。
相変わらずいい匂いだな……
「おやすみ、レイ姫…
良い夢見ろよ……」
幸せになることを怖がるなよ…
諦めるなよ…
僕は諦めないからな…
そうつぶやくと同時に、たちまち睡魔に引きずりこまれていった。