第34章 surround ■ 【番外編】
次の日からのレイは、当然誰に言える話でもなくて、なんとか冷静さに努めようと必死だった。
普段通りにしよう。
しかし、あまりのショックを受けていたレイの異変はわかりやすすぎたようだ。
まずは五条に声をかけられた。
「おっはー!…どーしたのー?ふらついてない?」
「……そ、だったぁ?なんでもないよ。」
「うっそだあ。あ、生理中?」
「……っ。違うしっ…」
「でも体調悪そうだよー?」
何も言わずに俯いているレイの顔を覗き込んでハッとなる。
目が腫れている上に顔色も青白く、確実に何かを隠しているのが伺えた。
「……ホント大丈夫だから。気にしないで」
「いやぜってーなんかあった!…言えないこと?」
さすが容赦のない五条に、レイは諦めたように言った。
「ちょっとお腹が気持ち悪かっただけ。
もーなんともないから。」
足早に去っていくレイの背を見つめながら、五条はこのとき、ある疑念が浮かんでしまい眉を顰める。
まさか・・・
いや…でも……
とりあえずレイがこうなる原因って、あいつしかいなくね?
すると夏油が背後から声を掛けてきた。
「おはよ、さと」
「おいお前っ、」
バッと振り返って瞬時に夏油の両肩に手を置く。
夏油は突然のことに目を見開いている。
「…ん?なんだ?」
「傑さぁ… レイとなんかあった?」
「はぁ?いきなりなんだ?なにもないよ」
ジッと夏油の表情を見つめる。
……嘘ではなさそうだ。
ということはやはり・・・
まぁいい。まだ様子を見ておこう。
「… レイがどうかしたのか?」
「……体調が悪そうなんだよ。
見てきてやれ。」
「!!それは大変だ!わかった。」
夏油がレイに話しかけに行く。
その一部始終をしっかり観察しようと、五条はサングラスを取って碧眼を光らせた。