第32章 indifference
「…!!レイてめぇっ!!」
「………クマ?」
それから…
「…悟?」
目を見開いている五条と、その脇に抱えられているクマ。
「…… レイ…無事…か?」
五条はすぐさまレイに駆け寄った。
そしてみるみる目を潤ませる。
「う…うん…?」
どことなく、五条が大人びて見えるが気のせいだろうかと思いつつ、少し笑みを作ってみせる。
五条は、はぁぁあーーーと脱力するような長いため息を吐いたかと思えば、ギュッとレイを抱き締めた。
伏黒はその様子を目を丸くして見つめる。
今にも泣き出しそうな、こんな五条を見るのは初めてだし、しかも…このクマはなんだ?
「おい、夜蛾はどこ行った。
つーか、お前は誰だ。」
クマに突然話しかけられた伏黒は、お前こそ誰だよと言いたくなったが、とりあえず答える。
「俺は伏黒恵…
夜蛾先生は頭冷やしにどっか行っちまった」
「伏黒……あー、どっかで聞いたことあると思ってたら…あの赤毛野郎が言ってた式神使いか。」
「……赤毛…野郎…?」
まさか、虎杖のことか?
そう思って口を開きかけた時、クマの口を塞いだのは五条だった。
「あー、恵、ごめんね。
レイのこといろいろありがと。
とりあえず恵はもう戻っていいよ!」
「…はぁ?どういう状況か説明してくださいよ。
俺にだって知る権利はあるでしょう?」
伏黒は険しい顔をする。
こんなに何もかもが謎な状況のまま帰されたら、もやもやして夜も眠れない。
それに、単純に気になりすぎる。
五条はその意を察してか、短く息を吐くと
わかった。と一言言った。
今日の五条は珍しく目隠しもサングラスもしていない。