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walking proud~呪術廻戦~R18~

第32章 indifference


伏黒は、顔を顰めながら頭を搔く。

「なにがどうなってんだ、ったく…」

そう呟きながら、濡れたタオルを用意する。


レイの隣に腰掛け、
前髪を退けると、額の汗を拭った。

よく見ると…

ピアスがすごいな…。
呪具の類か?


顔に着いていた僅かな汚れを擦った時、
レイの瞼が開いた。


「あ」

「…ん…あれ?」

視界を埋めつくしているのは、先程の少年の顔。
驚いて目を見開くと、伏黒は困ったような顔をした。

「大丈夫ですか。さっき倒れたんだけど…」

「…う、うん…ごめん、
伏黒くん…だよね?」

伏黒が頷くと、レイは少しだけ表情を緩めた。

持っているタオルに気がついたのか、レイが慌ててまた口を開いた。

「あ!ありがとうっ…
看病してくれてたんだ…!」

「あ、はぁ…」

「!?え…伏黒くん、怪我してるよ?!」

レイの視線が手元にある。
よく見ると、先程夜蛾を殴ったからか、人差し指の付け根あたりにかすり傷ができていた。

伏黒は表情ひとつ変えず、
あー…これはーと声に出した瞬間、レイに手を握られていた。

「いっ、たそう…大丈夫?」

「…大丈夫です。」

「あぁ、そうだ。応急処置だけど…」

と言いながら絆創膏を取り出すと、そこに貼り付けた。

全てが一瞬のことすぎて、伏黒は呆然とする。

「…あ…ありがとう、ございます」

「ううん!お礼を言うのは私の方だから!
わざわざここまで運んできてくれたんだよね!」

満面の笑みで手を握ったままそう言われ、伏黒の鼓動が1つ跳ねた。


目を合わせていられなくなって視線を落とすと、あることに気がつく。
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