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walking proud~呪術廻戦~R18~

第31章 usurp 【番外編】


「夏油くん…」

「ん?」

図書室を出ようと、本を全て持ってくれているどこまでも優しい大好きな彼が振り向いた。

「どうした?まだ何かあったの思い出した?」

「違う…」

好きです。大好きです。
と、ここで言えるほどの勇気が自分にあったら…


「あのね……」


言ってしまっても…いいだろうか?
そしたら彼は、なんて答える?
彼は誰にでも優しいから、別に私が特別じゃないことはわかってる。


「わたし……」

「ん?どうしたの?」


そんなに優しい表情を向けるのも、
きっと私だけじゃ、ないよね…

好きという気持ちも初めてで、
幸せな気持ちも、嬉しい気持ちも、

こんなに苦しい気持ちも初めてで、

全部全部、あなたが初めてで…



レイは1度唇を噛み締めた後、笑顔を作った。


「ねぇ…私も1つくらいは……
夏油くんの初めてに、なれてる、かな?」


結局発せられたのは意味不明かもしれない言葉だった。
慌てて、なんでもないと言おうとした時、彼は真っ直ぐとレイの瞳を捉え、真剣に言った。


「1つどころじゃないよ。
もう、数え切れない、かな……」


「…え……」


「数え切れないなんてことも初めてで、
困っているよ。」


そう言うと、すぐにまたいつもの優しい笑みに変わってレイの手を引いた。


「行こう。」


歩みを進めながら、引かれている手の先の、彼の後ろ姿を見つめる。

そして、思い出す。


"行こう。君が君でいられる場所へ"


初めて出会ったあの日、
運命のあの日、

そう言って初めて私の手を引いたあの日から…

あなたの存在は、私の全てになった。
あなたのために生きたいと強く思った。


このまま私の全てを奪ってほしい。
私の初めてを、なにもかもを、
丸ごと全部。


あの日から、
私はあなたに全てを捧げると
誓っているんだから……


全ての初めては、
私の存在自体は、

全て、あなたのためだけにある。










ーFinー
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