第31章 usurp 【番外編】
ver①
五条と夏油が教室の席に着いて、必死に笑いを堪えていると、いつの間にかレイがニッコリ笑って立っていた。
「何の話をしてたのー?面白い話ー?」
「あぁ、レイ、くくくっ…そうなんだよ。
こっ、ぶふ…この動画がっ…くっ…ささ悟の見つけてきたやつなんだけどっ…このっ…ぶ……はーもうダメだ私は!ハハハハ」
「すぐっすぐる…ぶふぉ!くくくく!おまっ、笑いすぎだろ…ふはっ!……あーあのね、レイ…ぐふっ!くっ…」
レイはそんな2人をただ訝しげに見つめる。
「悟っ…どこで見つけてきたんだこんなっの…ふはっ…ぐふぅ…くく…やばい…涙が出てきてしまったっ…くくくく」
「おっ俺っ…ぶ…っ…鼻水出てきたわ…ふははは」
「そっ袖で拭くなよ…ぶっ…くく…はー…」
袖で顔を隠しながらひたすら肩を震わせている2人に、レイは眉をひそめながら、五条の持っているスマホを覗き込む。
それは、おもしろハプニング動物集30連発などと書かれていた。
「っはー!観てこれ!俺のオススメこれ!ぶは!」
そう言って五条が再生したものは、金魚鉢をひたすら掻き回していた猫がバランスを崩して金魚鉢の中へザブンと入ってしまうというものだった。
「な!やばくねぇ?!ぐはぁぁははっ!」
「……うん面白いかも…しれないけど…
これってそこまで笑えるかな?
なんかふつーに可哀想っていうか……」
微妙な反応をするレイに、尚も笑いながら五条は言った。
「違うよレイ!注目すべきはこーこ!!
このっ…ぶは!…こんときのこっちの金魚のっ…ギャハハっ」
「・・・」
よく分からなくてレイは眉をひそめながら動画を凝視する。