第3章 comrade
大きいピアスの横に新たに装着された稲妻型のピアスはいつもレイがしていたものだ。
それが今、夏油の耳でキラリと光りだした。
「ふぅん。いいね、結構似合ってるじゃん」
「だろ?」
その時、硝子とレイの急かすような声が耳に入ってきた。
「もーそろそろ行くよー!あっやべ、一服すんの忘れてた、私の煙草どこ」
「早くしないと今度は頭突き食らうよ〜」
何事も無かったかのように目を逸らして2人同時に立ち上がる。
「ねぇ傑、レイには傷1つ付けない!って映画みたいなセリフ聞かせてよ」
面白そうにコソコソと耳打ちする五条に、夏油は真顔で言い返す。
「自分を奮い立たせるためにわざわざそんなことを言う弱者のセリフは私は吐かない」
「あっそ。じゃ、次回俺の時には使わせてもらうわ」
肩で笑いながら前を行く五条の背中を冷淡な顔で見つめながら夏油も歩みを進めた。