第26章 distortion
「大丈夫〜?夏油様。
甘いもの苦手なの〜?」
「あ、いやいや。そんなことはないんだけどね…
昔よく甘党の人たちに囲まれていたし…
君たちも随分と甘党のようだね。」
微笑んで頬杖をつく。
菜々子と美々子はさぞ美味しそうにパンケーキを頬張っている。
「だから夏油様っていろいろ知ってるのかぁ〜!
ねぇ、他にどこか知ってる??」
キラキラした2人の視線が突き刺さる。
あー…
さて…
他にどこかあったかな…
記憶を巡らせるように視線を逸らしながら夏油は言った。
「クレープとかかなぁ…確か…たけしたど…」
言いかけてから慌てて口を噤んだ。
しかし、もう遅かったようだ。
「竹下通り?!
あの有名な?!行きたい〜!」
「私もそこクレープが有名って聞いたことある!」
たちまちまた目を輝かせ始める2人に苦笑いする。
「あんなに猿が多い場所はオススメしないよ?
もうほんっとにすごいんだ。あそこは。」
「えぇーー!!
でもクレープ食べてみたいぃー!!」
「私もぉ〜!」
夏油はハァと短く息を吐いてから口角を上げた。
「…仕方がないな。
じゃあ家族みんなで行こうか。おいおいね…」