第20章 curse
レイはあまりにボリューミーなパンケーキに、早くもお腹いっぱいになってしまい、何度か夏油の口の中へも押し込んだが、お互い限界になってしまい、結局ほとんどクマが食べてくれた。
「ふー…私ってこんなに食べれなかったっけー?」
「久々に胃がもたれそうなんだが…」
「お前らは少食だな」
とりあえず、ホットティーを飲みながら一息ついていると、隣の席に、若めの夫婦と、可愛らしい2人の子供が席に着いた。
まだまだ小さくて、母親と父親それぞれに抱かれて座っている。
レイはあまりの可愛さに目が離せなくなった。
ほぼ赤ちゃんのような子供をこんなに間近で見れることはそうない。
「可愛いなぁ〜…」
ついそう呟くと、母親が気づいたようで笑顔を向けてきた。
「双子なんですよ。」
「わぁ…そうなんですか!確かに…瓜二つだぁ…」
よく見ると、確かに全く同じ顔をしていて、そして女の子のようだ。
「あー…ホントに可愛いね」
「うん。」
夏油も笑顔で頷いた。
両親は幸せそうに笑っている。
「お名前は、なんて言うんですか?」
レイの質問に、母親が子供の頭を撫でながら言った。
「この子が菜々子で、そっちの子が美々子です。」
「へぇ〜…菜々子ちゃんと美々子ちゃんかぁ…
いいお名前ですね…」
なにか玩具のようなものを手に持って振っている可愛らしいその子たちを見て、レイは素直に羨ましくなってしまった。
自分も女だし、いつか我が子を抱けたら…
そんな未来があったら…
でも、私たちは、この人たちを守るために存在しているようなもの。
今隣で笑っているこの両親や、愛されているその子供たち
この笑顔を守るために私たちは命懸けで頑張らなくちゃならないんだ。
そうだよね…
そう思って夏油に視線を移すと、
彼はどこか冷たい表情で目を細めて子供を見つめていた。