第20章 curse
3人で来ようと約束していたカフェにようやく来ることができた。
クマはベリーがふんだんに乗っているパンケーキを選び、レイは季節の果物の乗ったパンケーキを選んだ。
夏油は、絶対こんなに食べられないからレイが好きなの選んでと言うので、マカダミアナッツのパンケーキを選んだ。
カロリーが高そうだし、どうせなら全員違うものが良かったからだ。
そうして到着したパンケーキはやっぱりどれもホイップクリームが山盛りで見るからに五条が好きそうな、なんとも写真映えするボリューミーなもの。
レイとクマは目を輝かせて食いついている。
夏油は正直最近本当に食欲がない上に、先程のこともあって何かを食べたい気分には到底なれず、目の前の2人を見つめているだけで満足だった。
"私たちは家族なんだから"
レイの言葉を思い出す。
美味しそうにスイーツを頬張るというなんとも可愛らしいその姿だけで、もうお腹がいっぱいだ。
「ねぇ、傑?ホントに最近やつれたみたいだし、カロリーは摂取しないとダメだよ?」
ただニコニコと頬杖をついて見つめて来るだけの夏油を見てそう言う。
「うん。」
「いや、うんじゃなくって…もう……」
ニッコリ笑顔のままでいる夏油の前に、フォークに刺したパンケーキを差し出す。
「ほら傑、あ〜ん、だよ」
心底かわいいなと思いながら、
フッと笑って仕方なく口を開けると、甘ったるいクリームと共にそれが押し込まれた。
「………ちょっとこれ…甘すぎないか?」
こういったものはクリスマス以来だからか、異様に甘く感じて眉をひそめてしまった。
「でも美味しくない?」
「………ふふっ…」
いかにも女子が喜びそうな味と見た目のこのスイーツよりも、目の前にいる笑顔の彼女のほうが美味しそうなどと言いたくなってしまって笑いしか込み上げてこなかった。