第19章 torture
新年を迎えた。
新しい年を全員無事に迎えられたことは、レイにとって、どんなことよりも嬉しいことだった。
いつものメンバーで初詣に行き、お参りをする。
"神様…大好きな皆と、無事に過ごさせてくれてありがとう。
楽しい思い出をいっぱいありがとう。
今年も無事にまた、全員で過ごせますように…
そして、来年もまたここに皆で来られますように…
誰一人として欠けませんように…"
「レイ長すぎだよっ!何をそんなに一生懸命祈ってんのー?」
やはり今年も五条の止めが入った。
「もう…いいじゃん別に。1年に1回くらい頼み事をしても!」
「んなことよりおみくじ引こーぜー!」
「・・・」
おみくじはあまり好きではない。
そもそも占いなどそういった類のものは信じていない。
私が信じているのは、たった1人だけなのだから。
しかし、皆が引いていたら自分だけ引かないわけにはいかず、結局恐る恐るそれを開いてみる。
「・・・小吉。微妙だなぁ…」
それに、読んでみても結局、自分次第です的なことしか書かれていない。
これだからこういったものは嫌なのだ。
しかし、恋愛と書かれた場所に、目をとめた。
"荒れる。耐え忍べ"
「はぁ?なにこれー…」
レイはうんざりしたようにそれを木に結んだ。
五条は中吉だったことが心底気に入らないようで、呪力で粉々にしている。
夏油は誰にも教えずに丁寧に木に結び付けていた。
そして硝子は末吉だったらしく、詳細は読まずにポイとゴミ箱に捨てていた。
クマは、くだらん!と言ってもちろん引いていない。
結局誰もが微妙としか言いようのない結果だったが、こんなことで心をかき乱されるようなメンバーではない。
誰一人として全く気にせず、次の瞬間からは頭から完全に吹き飛んでいた。