第18章 holy night■
「こんなことなら僕がトナカイじゃなくって、やっぱ夏油さんがこれ着た方が良かったんじゃないですかー?今からでも遅くはないです!僕譲りますよ!」
そう言って自分の着ているトナカイのコスチュームを引っ張った。
夏油は焦ったように苦笑いしながら灰原の両肩に手を置いた。
「灰原、君ほどトナカイが似合う人はいないよ。うん、凄く似合ってる。チョッパーよりも愛らしいトナカイだ。」
するとやはり夏油ファンの灰原は心の底から嬉しそうな笑みを浮かべた。
「ほっほんとっすか?!こんなに夏油さんに褒められるなんて嬉しいなあ!!よかったぁ〜!!」
「うん、君はこれからも永遠とその格好で過ごすといいよ。さぁ、レイと一緒にトナカイの役目を果たしておいで。」
「はいっ!!了解ですっ!!」
目を輝かせてレイの元へと行ってしまった。
やはり灰原以外の適任はいないな。
と夏油は本気で思っていた。
オスの視線で彼女を見ない、1寸の曇もない眼の灰原にしか、レイの傍には近寄らせたくない。
プレゼントは、レイが選んだ全員お揃いのミサンガで、小さな水晶が埋め込まれている。
それが割れて、ミサンガが切れるまで、各々の責務を全うして生きていこうという願いを込めた。
全員素直にそれを腕や脚に付けてくれたのでレイは嬉しかった。
「んー!やっぱターキーうっめえええ!酒に合う〜!!ねぇ?七海!」
「ですね。」
酒好きの硝子と七海はすごい勢いで酒を進めている。
レイもターキーを食べて目を丸くした。
他のオードブルもとても美味しい。
今年は闇鍋をやる羽目にならなくてよかったと心底思った。
「冥さん、本当にありがとうございますっ!感激です!」
「ふふ、レイちゃんの頼みならお易い御用だよ。夏油くんに負けていられないからね。」
冥冥がシャンパンを持っている姿がとても似合っていて、この人が何年後かに大人のレディになったときどれほどの破壊力だろうと思った。