第18章 holy night■
そしてクリスマス当日になった。
五条はクマと共に補助監督の森の車でケーキを受け取りに行っていた。
今では森は完全にクマの言いなりだ。
言いなりというか、とても仲が良いともとれる。
「おいなんだあの行列は。」
クマは背伸びをしながらひょこっと窓の外を覗いて言った。
「あぁ…ケンタッキーですね」
森が毎年のこの光景、その長蛇の列を見ながら苦笑いする。
そして運転をしながら柄にもなくチョコシェイクを吸った。
「けんた・・・」
「あ〜クマ野郎は知らねぇよな。ケンタッキーってのはチキンの店!なんたって今日はクリスマスなんだから。」
五条はバニラシェイクを吸いながら言った。
その隣でクマが顔を険しくする。
「あぁん?クリスマスはチキンじゃなくてターキーだろ。そうおいら言ったよな?あれは事実だ。」
「まー本物はそうかもしんねーけど、日本人にはクリスマス=チキンっつー習慣がついちまってんだよ。つかなんだってよくねぇ?そんなの。」
「いいわけあるか。神に対して勘違いも甚だしいな、罰当たりな異教徒め。
神への冒涜罪に値する。誕生日を祝う資格はない。」
クマは不機嫌そうにイチゴシェイクを思い切り吸い上げた。