第17章 existence■
「マジでなんもいねーじゃぁん…。つまんね。
てか俺いらんくない?…帰りてー。」
五条は方位磁石を確認しながら心底うんざりしたようにとぼとぼと歩く。
方向的に、夏油とは絶対に会わないはずだが、いずれレイとは会うかもしれない。
"何事もなさすぎんだけど、そっちへーき?"
"こっちにもなんにもいない〜"
先程のレイとのやりとり。
もしも彼女が地雷を引いてしまっていたのならすぐに駆けつけようとしたのだが、今のところは大丈夫そうだ。
ということは…
やはり夏油の方に" なにか "いるのか?
「まー、あいつなら大丈夫だよな。
ドラえもんだし。」
そう呟きながらサングラスを外したその時、
"悟!早く来て!"
「えぇ?!レイ?!」
"こっちだよ!早く!!"
間違いなく彼女の声だ。
立ち止まってキョロキョロと視線を動かす。
"悟!助けて!早く!!"
「どこ…?」
"こっちだよ!"
黙ってその声の方へと歩みを進める。
"もっとこっち"
「・・・」
いやおかしい…。
クマと前に行った森のときと似ている。
「ふっ…六眼をなめんなよ。
俺は今、クマポンに言われた通りグラサン取ってんだからよ!」
バガガガ!!!
見破ったその声の主を見つけ、攻撃を放った。
しかし、これが本体でないことも六眼では見抜けた。
今祓ったヤツ以外の奴がいるはずだ。
しかもきっと一体じゃない…
めんどくせぇな…
あの二人は平気か?