第17章 existence■
「傑…すごく髪が伸びたねぇ?」
レイは夏油の髪をとかしながら思った。
自分よりも長くないかと。
「あー最近放置気味だからな…。やっぱ微妙?レイが言うならすぐ切るけど。」
「ううん!傑は髪が長いのが似合うよ!もっと伸ばしてもいいと思うよ。あ〜こんなふうにハーフアップなんかいいなぁ。」
そう言って半分だけ髪を結う。
そして前に回りこんで、夏油を真正面からまじまじと見つめた。
「うん!めちゃめちゃ似合う!やっぱ私これが一番好きだなぁ〜」
そう言って満面の笑みになるレイの腰を夏油がグッと引き寄せ、自分に跨らせた。
レイは照れたような笑みに変えて夏油の首に巻きついた。
大好きな彼の香り。体温。感触。
椅子の上でピタリと密着した体から、愛しいその全てが感じられる。
ギュッと夏油の腕に力が入るのがわかり、レイも強く抱き返した。
「はぁ…ダメだな…今すぐに君を抱きたくなってしまう」
「ふ…私も…傑に抱いて欲しいって、思ってしまう…」
耳元で囁き合い、笑い合う。
すると突然夏油が立ち上がった。
そのせいで、レイはしがみついたまま体が浮いた。
「っわ!…えぇ?」
ストン。
そのままベッドに下ろされ、夏油が覆い被さる。
熱の篭った瞳で目と鼻の先で見つめられ、ドクドクと鼓動が早くなるのがわかった。
そのまま吸い寄せられるように唇が重なった。
ハラリと頬に落ちてくる夏油の髪。
優しい手つきで髪を撫でられ、頭をくしゃりと掴まれた。
「んん……」
何度か啄むように唇を含まれたかと思えば、熱い舌が口内へと入ってくる。
奥から吸うようにして舌が絡まり合い、艶めかしく蹂躙されていった。
時折、は、ふ、と聞こえる夏油の吐息だけで、レイは理性が吹き飛びそうになっていく。