第16章 division
「おいらと組むのは確か2度目だな、七海健斗」
任務に向かう道中、今は補助監督の森の車内にいる。
「はい…というか、なぜ突然私と?
2年の皆さんの任務についていなくて良いのですか?」
「てめぇや灰原を死なせねぇために決まってんだろうが。
あいつらはおいらがいなくてもなんとかなる」
「・・・」
どうせなんにもしないんでしょう、という思いで七海は短く息を吐く。
クマは森からもらった風船ガムをふてぶてしい態度で膨らめて腕を組んでいる。
クマの人形が隣にあるだけで、なぜこんなにも緊張してしまうのだろうかと思わずにはいられない七海であった。
そうして着いた先は、廃棄物処理場だった。
なんともいえない異臭と、禍々しい空気が漂っていて、2人同時に顔を顰める。
「くっせー。とっとと終わりにすんぞ。
にしても…思ってたより広いな」
「ですね…」
歩きながら、クマが突然、全く違う話を切り出してきた。
「そーいや七海、お前ってクリスチャンか?」
「っ、はい?」
「デンマーク人だろ?キリスト教徒かって聞いてんだよ」
「いや、正確にはクウォーターですし、私は無宗教ですよ。まぁ、デンマーク人の7割以上はキリスト教徒らしいですが…」
「…7割?」
なぜ今こんなところでそんな話を?
何か意味でもあるのか?
そう思いながら七海は無機質な表情で進んでいく。
クマはあまり意味の無い話はしないから、これにもなにか意味はあるはず…か?
七海はいつの間にか思考がそちらへ向かっていた。