第13章 quarrel
あっという間に夏休みは終わった。
計画してた所には全部行けたけど、本当はもっともっとまだまだ行きたいところもやりたいことも、たくさんある。
けれど、時間は待ってはくれない。
現実は常に忙しない。
「っえ、ちょっと何事?!」
「ハッハッハすっげ久々に見たわこの光景!」
隣で硝子はケラケラ笑っている。
けれどなぜこの状況が笑えるのか、
レイには1ミリも分からなかった。
「何してる、悟!本気を出せよ」
「ああん?!お前こそ本気を出せよ傑ー!!」
バガガガガガガ!!!!!
ガシャン!!!
ドカッ!!!
ジャリン!!!!
中庭で、五条と夏油が術式を使い合って乱闘を繰り広げている。
こんな光景は初めて見た。
目を見開いて、顔を強ばらせることしか出来ない。
「っぐ…!だいたい!俺はなぁ!お前のそういうっ!いつもわかったようなフリして見透かしてるような態度がっ!気に食わねぇっつってんだよ!」
「はっ!何も分かっていないのはそっちじゃないかっ。私に何度も同じことを言わせるんだからな!いい度胸だ!」
「おまっ!だからこっちも何度も説明し」
「少し黙らせてあげよう悟!」
言い合いの最中でも、夏油の呪霊と五条の術式がぶつかり合い、その破壊力は当然凄まじいので、辺りは大変なことになっている。
遠くのはずなのに、校舎のガラスは割れ、木々はバキバキになっている。
このままだと、本気で丸ごと破壊されてしまいそうな気がするが、二人の間に割って入れば一瞬で死にそうなほどの迫力で、息を飲むしかない。