第11章 throbbing
「ねぇ、さっきからずっと悲鳴が聞こえてくるあの大きな建物は何?」
シーに着いてもう既にいくつか乗り物に乗ったのだが、レイはさっきからそれが気になってしょうがない。
「あー、あれはタワーオブテラーだよ!
すっげぇこえーーやつ!……ぽい!」
「えー!じゃああれ乗ろうよ!」
絶叫系が大好きなレイは目を輝かせた。
しかし五条は首を振る。
「ダメダメあれは夜に乗るもんだから」
「えっ。そうなの?」
「夜景がやべーんだ。絶景だよ」
絶対に来たことあるなこりゃ。
そう思いながらレイも硝子も顔を突合せた。
クマは夏油の脇に抱えられながらソフトクリームを貪っていて口元がベトベトに汚れている。
「ねぇーそれより酒はあとどこにあんの?」
「え!硝子さっき飲んだばかりなのにまだ飲むの?!」
「あんなの飲んだに入らねーしー。てか私ここへは飲みに来てんだしさ。けっこーシーの酒良いっぽい。」
そういえば夢の国で未成年とバレたらどうなるんだろうか?
とレイはふと思う。
夢の国だからなんでも大丈夫なのかな?
すると隣で夏油がクマの口を拭きながら言った。
「そういえばさっき、なんとかラウンジとかっていうバーみたいなのあったよ。あそこならたくさん酒あるんじゃ」
「おし!行ってくるわ!どっち方向?」
言い終わらないうちに硝子が夏油に詳細を聞き出した。
「ねぇ、硝子もしかして一人で行くつもり?」
「おう!一人で飲んでるからあんたたちは思う存分楽しんでおいでよ」
何食わぬ顔で言う硝子はもうそこへ行く気満々だ。
でも…1人って…
浮いてしまわないかとか、なんだかいろいろ心配なレイは苦い顔をする。