第52章 forgery
「ふー… レイには口が滑っても言えねぇな…」
「去年の百鬼夜行…新宿と京都に戦力を分散させていなければ、勝っていたのは乙骨ではなく彼だっただろうね。」
「んなことより…なぜ傑の身体なんだ?」
「呪霊操術の力が必要でね。」
クマがビー玉のような大きな目を更に大きく見開いて沈黙した。
夏油は笑っている。
「あぁ、そのリアクション…ふふ、考えていることはやはりあれかな?」
「・・・」
「安心してくれ。君が条件を飲んでくれさえすれば、神無月レイの身体は乗っ取らない。」
「……条件?」
「単刀直入に本題だけ言うとね、君をこちら側に引き入れたい。」
クマは真顔のまま数度瞬きした。
「…当時の傑と同じことが目的か?」
「ははっ。そんな薄っぺらいものじゃないよ。」
「まさか両面宿儺の完全復活…」
「私にとって宿儺は獄門疆が失敗したときの代案に過ぎない。」
「!…獄門疆を持ってんのか?まさかそれで」
「五条悟を封印する。そして呪術全盛あのころの平安の世を作るのさ。」
クマは呆れたようにため息を吐いた。
「んな簡単にいくかよ。つぅかそれなら尚更協力しかねる。なぜなら五条悟は今ではレイにとっての当時の傑同等になっている。」
「なるほど?しかし彼らの弱点さながらのそんな話を私にしてしまってもいいのかな。いやはや君は本当に賢いのかなんなのか…」