第52章 forgery
「皆これだけは忘れないでね。
私たちは…"家族"。
いつかまたどこかで、一緒にご飯を食べるのよ。」
異様な沈黙が流れた。
それは各々が様々な感情を蠢かせており、
刹那さの中でもどこかピリピリとしていた。
「家族……か……」
突然クマが静かに呟いたので
全員の視線が集まった。
「…それってなんなんだろな。
おいらには、未だによく分からん」
「「・・・」」
「そういえば…あなたは一体どっちの味方なの?
夏油様の生み出した本当の家族だったんでしょう?」
女の問いかけに、クマは唸った。
「…守るという保護機能、育てるという教育機能、増やすという生殖機能、支えるという扶養機能、経済機能、そして楽しむという娯楽機能……この全ての機能が揃ってるもの、要するに、生きていくために必要なものを"家族"というんだろ?」
ここにいるメンバーもそうなんだよな?
「だとしたら、なぜ家族はいつどの時代も争い合い、分かり合えずに分裂するんだろうな。
お前らが心配しなくとも、案外すぐに、人類は滅亡すんじゃねぇか。現に今だって人口は減り続けている。」
全く違う方向からの発言に
その場の誰もが言葉を失う。
「おいらは別に、誰の味方でもない。
だから好きにさせてもらうが、傑には会う。
おいらの中の傑は、たった1人だからな。
傑は、確かに、"生きていくために必要な存在"だった。」
そしておいらの1番大切にしてるものにとっても…。