第52章 forgery
クマの交友関係は実に幅広い。
俗に言う飲み友というような関係の友人で言えば、
硝子だけではなく、七海、そして九十九由基までいる。
パンダだけでなく、高専の術師たちからももちろん指導を煽られたり遊びに誘われたりなど人気が高い。
わけだが、実はクマには誰にも言っていない秘密の交友関係があった。
と言っても、別に秘密にしてるというわけでもないのだが。
「うあ〜!!クマが知らない女の子とLINEしてる〜!!誰それー?ねぇ誰?!もしかしてっ…恋人?!」
「なわけねぇだろ!!返しやがれ!!」
レイからスマホを奪い返し、ぷいっと背を向ける。
しかしレイはさっきからその可愛い女の子のアイコンが気になって仕方がない。
「ねぇ、いいじゃん。見せてよ。」
「なんでだよ。」
「えー気になるからに決まってるじゃん。ねぇ、それで、誰なのそれ?」
「……説明すっと長くなる。それに…お前に説明すんのが1番めんどくせえ。」
「………?え?」
意味がわからず疑問符を浮かべていると、背後から「なになに〜?」と五条が覗き込んできた。
スマホに表示されているLINEのアイコンを見て首を傾げる。
「んー?なんかーどっかで見たことあるよーな…?」
「えぇ?!マジ?!」
「んー、いや、でも全然わからんわ。なにしろ僕モテるじゃん?だからいちいち一人一人覚えてらんないわけ。」
顔を顰め睨みつけてくるレイを見て「あっははジョーダンじゃん!」と言う。
「つーかなに?え、彼女できたのクマポン!?」
「なわけねーだろ!どいつもこいつもバカすぎて苛つくわ。おいらもう出る。」
まだ早朝なのにクマは朝ごはんも食べずに消えてしまった。