第50章 promise ■
「……。毎日…私のこと見つめて。」
「…え?見つめるだけでいーの?」
「うん」
「…こーゆーふうに?」
目と鼻の先でジッと見つめてくる彼の瞳は、
どこまでも広く澄み切った空みたいだった。
その目で見つめられていると、
自分を見失わずに済むような気がした。
唯一、私が私でいられる場所に、
青くて広い空の下に、
解放的に佇んでいる気分になれた。
「空……落ち…着く……」
「ふふっ…」
優しく細まる蒼眼を見ていたら
徐々に睡魔が襲ってきた。
まるで幻想的な蒼空の中で、素敵な物語を子守唄みたいに聴かされている感覚。
「約束…ね…」
「うん、約束。
おやすみレイ。ちょーちょーちょー愛してる」
「ん……私も…愛し…て……」
意識が遠のいていく。
瞼が重くなっていく。
同級生としてじゃなく、
呪術師としてでもなく、
交わした言葉は全部全部"約束"しようと思った。
そして誓おうと思った。
以前言っていたこの言葉も。
"約束して。
僕とレイの物語…最後必ず幸せに完結するまで、ずっと一緒に進めていくって。この先何が起きようと。"
死がわかつまで、
夫となる五条悟を愛し抜こうと。
今までのことも、これからのことも、
ずっと忘れない。
また物語が動き出した、あの日のこともね。
自分を大事にできなかったあの日
傷ついたのは私なんかじゃなかった。
いつでも明るく振舞ってきたその顔に
初めて涙を見た日を
きっと私は一生忘れない。
これからもずっと
ありがとうと愛してるを言い続ける。
.