第49章 roaring
とある居酒屋…
硝子も七海も、目の前で項垂れている五条にため息を吐く。
「や…とりあえずさぁ、あんた、
こんなとこでこんなことしてないでさっさと謝んな。
それだけの話っしょ」
「ですよ。なんの意地張ってるんです。」
「……いや…意地とかじゃないじゃぁん…
もう終わったな、僕……。って感じ…」
「は?なんで話し合いもせずそうなるわけ?」
「や…もうわかるんだ…
会って話してキッパリ言われたら…本気で僕生きてけない…
だったらまだ自然消滅のがいい…」
そう言ってメロンソーダのストローを咥える子供のような五条に2人はイラつき始める。
「こんなにネガティブでしたっけ五条さん。」
「レイのこととなるとそうみたいだな」
「・・・」
「にしても…あのジュンさんが登場するとは予想外でしたね」
「だな…。私もちょっと存在すら忘れてた」
「はぁ……僕って…ほんっと……はぁ…」
「まぁあんたも悪いとこはたくさんあるよね」
「でもレイさんはとても寛容的な方なので、とにかくきちんと話し合うべきかと…」
「・・・」
五条は黙りこくったまま、
食欲すら無いようで酷くやつれているように見える。
料理には一切手をつけず、
ただボーッと色のない表情でメロンソーダを吸っているだけ。
ジュー…という音だけが鳴り響き、
グラスの中のメロンソーダはみるみるなくなっていく。
硝子も七海もそんな目の前の男の動きを
複雑そうに眉を寄せて見つめていた。