第49章 roaring
よく見ると、冥冥の肩部分の服が少し破けている。
レイは顔を強ばらせてすぐさま駆けつけた。
「なっ何をしてたんですか?
大丈夫ですか、冥さんっ!」
「はは、こんなのどうってことないけど。
さすがに五条くん相手だとねぇ…」
レイは眉間に皺を寄せて五条の方を見た。
随分と久しぶりに目が合った気がした。
五条の蒼眼は、驚いたように見開いている。
「冥さん…ちょっと肩擦りむいてる…
帰りましょう」
「大丈夫さ。でもそろそろ帰ろう。
もう夕方だ。…またね五条くん」
気がつけば辺りは暗くなってきている。
レイは冥冥の肩を支えながら足速に去っていってしまった。
残された者たちにしばしの沈黙が流れる。
まるで嵐が去ったかのような静寂。
先に口を開いたのは虎杖だった。
「ねぇ、どゆこと?なにがあったの五条先生…」
「………」
「せん、せい?」
「ちょっとした手合わせだよ、気にしないで。
さぁ、今日はもう解散ね。」
至って冷静沈着な態度なのにやけに禍々しい。ただならぬ殺気が抜け切れていないまま去っていく五条の背を見つめたまま3名は何も言えなくなってしまった。